松山中島輪中
【まつやまなかしまわじゅう】

海津郡海津町にあった独立の小輪中。高須輪中の東にあって，四周を木曽川に囲まれていた。もっとも最後の時期では木曽川の主流はこの輪中の東を流れ，他の河川敷地は桑園などになっていた。輪中内には松山中島村１村のみがあった。もっとも，このように木曽川の中島となり，輪中堤を必要としたのは，それまでこの付近で木曽川が大きく西に迂回していたので，正保３年，この村の東に新しく木曽川通を掘割り，木曽川の流路と連絡したためである。そのため，行政的には古くから尾張国に属していたが，明治20年に岐阜県に転属した。明治期の三川分流工事で木曽川と長良(ながら)川とがこの付近では新たに分離されることになり，その河川敷地の拡幅のためにこの輪中は全面的に河川敷地となり，今はまったく昔の姿が残っていない。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7108731