100辞書・辞典一括検索

JLogos

28

東寺遺跡
【ひがしでらいせき】


弥生時代の平形銅剣埋納遺跡。名西(みようざい)郡神山町下分字東寺に所在。鮎喰(あくい)川上流の北岸の丘陵の南面する緩斜面で,海抜200m前後に立地し,川を挟んで左右山遺跡とほぼ対峙し,約700m離れた地点に位置する。銅剣は折損した3口の断片が発見されている。1口は身の上半部を欠失した現存長21cmで身の厚さ1.5mmと扁平なものである。棘状突起を有し,一般的な平形銅剣とは相異し,突起下に刳方状カーブを有する。また,関の左右上下いずれも非対称な小孔を有し,有孔銅剣の意義を考えるうえで重要な資料であるとともに,平形銅剣出現前の模索段階の銅剣であることが指摘されている。2口は穂先部を欠損する現存長31.6cmのもので,棘状突起のやや下で2つに折れている。左右山遺跡出土の銅剣より棘状突起・身の発達は少ないが,平形銅剣Ⅱ式b類に分類される。3口は平形銅剣の穂先部で,現存長10.9cmを測り,2口の穂先部の可能性も有している。左右山遺跡とともに,本県でも数例しかない銅剣埋納遺跡であり,下流の銅鐸埋納遺跡などとともに,鮎喰川水系文化圏の青銅器文化研究上,重要な遺跡である。文献は「徳島県神山町下分東寺出土の銅剣」「徳島県神山町下分東寺出土の銅剣―補遺」(考古学雑誌42-1,昭和31年)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197122