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以南
【いなん】


旧国名:土佐

県の南西部,現在の土佐清水市全域と中村市の一部および幡多郡大月町南部を指す歴史的な地域呼称。四万十(しまんと)川河口南岸から布崎・足摺(あしずり)岬・叶崎・柏島を経た地域と伝えられる。地名の由来は明らかでないが,古代の鯨野郷にちなむとも考えられ,鯨の古訓「イサナ」が転訛したものとも推測される(長宗我部地検帳幡多郡下の二解説)。渭南・伊南とも書くが,渭南とは四万十川の流れを中国の渭水になぞらえ,渭水の地から太公望をはじめとする文傑の士が多く出たことにあやかったあて字といわれる。この地域は高知県でも最も温暖な地域に属し,清水で年平均気温17.8℃,最寒月の1~2月の平均気温は8.5℃,年間平均雨量は2,645mmで,植生もアコウ・ビロウ・リュウビンタイ・クワズイモなどがみられ,亜熱帯的な景観を呈している。以南の海岸部は東部の在崎から西部の大堂海岸に至る範囲が足摺宇和海国立公園に,竜串・樫西海岸は海中公園に指定されている。
以南村(中世)】 鎌倉期~戦国期に見える村名。
以南(近世)】 江戸期の地域名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7204050