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今ノ山山地
【いまのやまさんち】


県の南西部,土佐清水市・宿毛(すくも)市・幡多郡大月町・同郡三原村にまたがる山地の総称。別称に渭南(いなん)山地があるが,必ずしも一般的ではない。幡多山地の南部を占める。基盤岩石は大部分を白亜紀四万十川層群須崎層が占め,中村市山路~土佐清水市布を結ぶ線および久百々(くもも)~益野を結ぶ線から東は第三紀始新世清水層,足摺(あしずり)半島先端部および大堂は花崗岩,益野・高畑付近,爪白にかけては第三紀漸新世三崎層でそれぞれ構成される。今ノ山(864.6m)の南斜面は益野川と宗呂川に浸食され,東・南・西に尾根がのびる。東尾根はさらに久百々川によって東と南東に分かれる。東は南平山(579.5m),譲葉山(427m)と高度を下げ久万地崎に達する。南東に向かう尾根は大岐浜南西の鷹取山(307m)から高度を下げながら以布利峠を経て足摺(あしずり)半島の白滝山(446.6m)・白皇山(433m)へ続き,半島部を形成する。鷹取山は漁師の方位山として,白滝山は電波関係の施設をもつ山として重要。益野川と宗呂川の間の尾根は緩やかに南下し海岸に至る。今ノ山の西尾根は宿毛市南東の中畑山(455.1m)から南西に向かい,大洞山(465.1m)・大堂山(246.4m)を経て沖ノ島へ至るものと,宗呂川上流部の西,宿毛市と土佐清水市境を南下し,叶崎・朴崎を形成しているものとに分かれる。また,今ノ山の北山麓に三原盆地が広がっている。同盆地は東から北・西にかけては貝ケ森山地に囲まれ,南は今ノ山山地に隔てられる。東の出口に下ノ加江川が流れ,北西は中筋川の上流部にあたる。今ノ山山地の植生は,国有林内には天然林が残されているが,大部分は薪炭材として更新が繰り返され,かなり密生した照葉樹林が多い。今ノ山は幡多郡南部の最高峰で,山頂周辺の国有林は人工林もあるが,大部分が針葉樹・広葉樹混交林の天然林で,足摺や大堂では見られないモミ・ツガなどの針葉樹とカシ・ヒメシャラ群系の広葉樹が見られ,今ノ山風景林指定地区もある。高度の低い海岸に至るとアコウ・ビロウなど亜熱帯景観を呈する。全体的に,今ノ山を除いて標高は低く,山地が海に迫り,海岸から直立する断崖が多く,山頂には電波通信テレビ塔や航行目標無線標識施設などが各所にみられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7204081