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総社(中世)


 戦国期に見える地名。群馬郡のうち。長享2年9月28日僧万里集九は武蔵鉢形から上野白井へ赴く途中,馬上から惣社を望み詩作している(梅花無尽蔵/県史資料編7)。さらに,大永7年と推定される年未詳12月16日の長尾景誠書状(上杉家文書/同前)によれば厩橋城に拠る長野氏が「惣社要害」を攻めたことがわかる。惣社要害は蒼海城をさすとみられる。蒼海城は上野守護代長尾氏が築城したもので,長尾氏は上杉氏の衰退とともに自立化し,永禄4年に成立した年月日未詳の関東幕注文(同前)には「惣社衆」と称されている。その後甲斐の武田氏が西上州に進出すると長尾氏はこれに抵抗している。永禄8年2月武田信玄は「惣社」攻略の願文を新海社・諏訪社に捧げ(山宮文書・守矢文書/県史資料編7),同年と推定される年未詳9月18日の武田信玄書状写(小田部庄右衛門氏所蔵文書/同前)で出陣を宇都宮氏に報じている。結局蒼海城は落ち,西上州は武田氏の支配下に入った。その結果武田氏はこの付近の所領4か所を瀬下氏に与えている(上州瀬下氏由緒書/同前)。現在前橋市に総社・元総社の地名が残っているが,現在の総社は江戸期に移ったもので,元総社が中世の総社の地名を継承するものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
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