堀工村(近世)

　江戸期～明治22年の村名。邑楽【おうら】郡のうち。はじめ館林藩領，天和３年幕府領，宝永４年館林藩領，享保19年幕府領，元文５年から館林藩領。延宝５年青柳村から分村して成立。村高は，「元禄郷帳」550石余，「天保郷帳」635石余，「旧高旧領」も同高。安政２年の封内経界図誌（館林市立第一資料館蔵文書）によれば，高612石余・反別78町余，うち田が高252石余・反別25町余，畑が高359石余・反別52町余，茂林寺朱印高23石余，家数72，人数301うち男147・女154となっている。夫役として，川俣村への助郷のほか，利根川出水の際は水番のため川俣村へ詰め，また館林城濠の藻をすくう仕事や土居の草刈り役を近隣37か村とともに例年の仕事として割り当てられた（館林市誌）。南に谷田川・利根川をひかえ，古来水害の多い地域であった。曹洞宗青竜山茂林寺は字中山東にある。応仁２年青柳城主赤井照光の開基，大林正通開山。越前永平寺の末で，茂林寺も18の末寺をもつ。大永年間勅願寺となり，江戸期には朱印寺の名刹で，分福茶釜で知られている。字熊野には鎮守熊野神社がある。慶長年間の創立，伊邪那岐・伊邪那美命を祭神とする。当村台地上は畑地で，陸稲・大麦・小麦・ダイズ・カンショ・ソバなどを主に栽培し，低地に水田が開かれ，水稲が作られた。また茂林寺沼・蛇沼・谷田川などではコイ・フナ・ウナギ・ナマズなどが獲れた。幕末の改革組合村高帳では，川俣村寄場組合に属し，寺領を除いて高612石余，家数62。明治４年館林県，栃木県を経て，同９年群馬県に所属。同11年の反別103町余，戸数102・人口553（郡制分画戸口反別調）。同22年六郷村の大字となる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7284534