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海上郡


「和名抄」上総国十一郡のうち。「先代旧事本紀」国造本紀に見える上海上国造の本拠は養老川下流の姉崎古墳群付近と推定される。平城宮跡出土木簡に「海上婇」の称が見え(平城宮木簡概報),「万葉集」巻14には海上潟の名が見える東歌2首が収められている。「続日本紀」神護景雲元年9月22日条によると当郡の檜前舎人直建麻呂は上総宿禰の姓を賜わり,同延暦4年正月27日条には海上国造他田日奉直徳刀自に従五位下を賜わったことが見える。「日本後紀」弘仁2年8月3日条によると,当郡に「主政一員」が増員されている。貞観10年以後,当郡神代神・高滝神・姉崎神・嶋穴神に神階が授与されている(三代実録)が,「延喜式」神名帳には嶋穴神社・姉崎神社しか見えない。同書兵部省諸国駅伝馬の項によると,駅馬は嶋穴駅に5疋,伝馬は海上郡に5疋置かれた。嶋穴駅は市原市島野付近に比定されるが,諸国馬牛牧の項に見える大野馬牧は大野郷付近と推定されている。「和名抄」では当郡は佐是(弖)・稲庭【いなにわ】・大野・山田・倉橋・福良【ふくら】・嶋穴・馬野【むまの】の8郷からなる。大前駅は当郡内(現市原市姉崎)にあったとする説(地名辞書)と市原郡内(現同市大厩【おおまや】)にあったとする説(市原市のあゆみ)がある。郡家は現市原市小折にあったとされる(地名辞書)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7291847