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香取村(中世)


 平安末期から見える村名。下総国のうち。香取社の所在地。香取社神領の1つ。応保2年6月3日付香取社大禰宜大中臣実房譲状に,大禰宜職に付属する金丸・犬丸名畠の所在地として「香取村」が見え,「迫畠三町 姦畠六丁三段小」以下,合計14町4反小の畠地が記されている(旧大禰宜家文書/県史料香取)。室町期,文安6年9月21日付香取孫六憲秀売券・同日付憲長添状には「町屋敷一間の坪者,香取下町のしき」「かんとりまちのしき,まこ四郎やしき」などとあり,神宮周囲に町場が形成されていたことが知られる(要害家文書/香取文書纂)。鎌倉期の元応2年4月27日の香取社宮堀目録に見える「町分」(香取神宮文書/県史料香取),至徳4年5月1日付大禰宜大中臣長房譲状に「当社まちの事」とあるのもこの町を指すのであろう(旧大禰宜家文書/県史料香取)。天正19年2月の香取郷宮中検地帳が対象とした「香取之郷宮中」はほぼ当地に当たると考えられる(区有文書/県史料香取)。なお,「家忠日記」文禄2年4月5日条に「香取町たて候」とある。新福寺を中心に地域内に下総板碑が約170基分布している。また,天真正伝香取神道流発祥地で,開祖飯篠長威斎墓所は県史跡となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
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