小糸郷(中世)

鎌倉期から見える郷名。上総国周東【すとう】郡のうち。嘉暦元年12月20日の上総国周東郡内東盛義所領等注文(金沢文庫文書/県史料県外)に「一,他人所領相挍所々事……小糸」とあるのが初見。君津市鎌滝の天南寺は小糸城主秋元一政が建立した天安寺が,天正19年改称した寺であるが,同寺の天正13年9月殻日の額(県史料金石1)には「上総州周東郡秋元荘狐糸郷」とあり,戦国期,当郷が秋元氏によって支配されていたことが推定できる。関東八州諸城覚書(毛利家文書/大日古)には「一,上総 こいとの城〈里見弾正少弼居城〉」と見え,天正18年頃当城が里見氏の支配下にあったことがわかる。郷域については,現在の君津市糸川に小糸の小字名が見え,また清和市場字根古屋に秋元氏の小糸城址が現存するので,糸川を中心に清和市場・鎌滝付近に比定される。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7293425 |