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「売名行為」で知名度を上げる


【至言】
『100万分の1グラムという微小な歯車は、小さすぎて、使い道はない。
でも、役に立たないその歯車をあえて作ることで、「こんなに小さいものを作る技術がある」と宣伝した。』松浦元男 樹研工業社長

【解説】
 樹研工業は愛知県豊橋市にある精密プラスチック部品メーカーである。携帯電話やDVDプレーヤーなどに使う部品を製造する。
 同社の松浦元男社長は、100万分の1グラムという超小型歯車の生産に社員を挑戦させた。使い道はない。しかし成功すれば、自社の存在をアピールする「売名行為」に利用できる。社員は面白がり、見事開発に成功。その情報を積極的に発信した。
 「そんなに小さい歯車ができるなら、こんな微細加工ができないか」。同社にはこうした注文が国内外から次々と舞い込んだ。「自社の技術には自信があったが、豊橋で注文を待っているだけではダメ。世界に打って出るために、自分の会社の存在を知ってもらおう」。松浦社長の目論見は見事に当たった。
 100万分の1グラムの歯車は、肉眼では見えないほど小さい。しかし、それは同社を飛躍させる大きな力となった。
【チェックポイント1】
□ ビジネスの成功には知名度の向上が不可欠である。
【チェックポイント2】
□ 突拍子もない話に人は反応し、記憶に留める。
【チェックポイント3】
□ 「誇大広告」は禁物。実力があってこそ、広告は意味を持つ。




(c)日経BP社 2008
日経BP社
「心にとめておきたい名経営者の至言」
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