顧客の賢明さを信じる
【至言】
『お客様は賢明です。
「現金払い以外、お断り」と宣言しても、10人のうち8人は買ってくれた。
大手より何割も安いのだから。』澤田秀雄 エイチ・アイ・エス会長
【解説】
格安航空券販売の草分け的存在、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄会長は1980年の創業以来、資金繰りを安定させるため、「即金取引以外、販売せず」の方針を貫いてきた。しかし、大企業からの注文が増えてくると、その多くが、「支払いは1カ月後」という条件を提示してきた。当時は、「大企業との取引は掛け売り」が商売の常識だったからだ。
大企業を顧客として囲い込めば、会社の経営は安定する。しかし、そのためには創業以来の方針を変更しなければならない。結局、澤田会長は、「格安航空券の販売という商売で、掛け売りをすれば必ず資金繰りは悪化する」という自分の信念を優先し、大企業からの要求を蹴る。その後、大企業の方が澤田会長に根負けして即金購入を決断。同社は結局、資金繰りに苦しむことなく、飛躍することになった。
【チェックポイント1】
□ 本当に競争力のある商品やサービスは、不利な条件でも受け入れられる。
【チェックポイント2】
□ 顧客が賢明であることを常に考えて販促する。
【チェックポイント3】
□ 世間の常識は必ずしも真理ではない。
(c)日経BP社 2008
| 日経BP社 「心にとめておきたい名経営者の至言」 JLogosID : 8516647 |