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教える代わりに質問する


【至言】
『「こうすればいい」と部下に教えてしまうと、言われたことしかやらず、自分で考えなくなる。
だから教える代わりに質問攻めにする。』酒巻 久 キヤノン電子社長

【解説】
 部下に仕事の進め方をこと細かに教える上司がいる。効率を重視すれば、確かに何から何まで指示した方が早いように思えるからだ。特に、部下の能力に不安を感じている上司ほど、そうしたやり方を取る。
 しかし、何から何まで教えてしまうと、そのときは効率が上がったとしても、部下が育たないので、上司はいつまで経っても楽にならない。長い目で見ると、教えたい気持ちをぐっと抑え、部下が自発的に考えるように仕向けることが欠かせない。
 キヤノン電子の酒巻久社長は、部下に仕事のやり方を教える代わりに、繰り返し質問を投げかける。特に、会社のムダを解消するために「質問攻め」を活用し、多大な成果を上げてきた。「この作業は本当に必要なのか」「この費用は本当に役立っているのか」。こうした問いかけによって、部下は「こう考えればいいのか」と気づく。これこそ部下の「考える力」を鍛える王道である。
【チェックポイント1】
□ 部下に考えさせることは、「積極的に行動する社員」を育てるための鉄則である。
【チェックポイント2】
□ 教えてもらわないと何もできない社員は「指示待ち社員」から脱皮できない。
【チェックポイント3】
□ 部下に考えさせるには、どんな質問を投げかけるのがいいかを常に考える。




(c)日経BP社 2008
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「心にとめておきたい名経営者の至言」
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