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アブソープション・アプローチ
【あぶそーぷしょんあぷろーち】


Absorption Approach

アブソープションとは、直訳すれば「吸収」という意味で、国内でどれだけ財やサービスが吸収(購入)されるか、つまり国内需要を指す。アブソープションの概念を用いて、国際収支と為替相場の関係を分析することを、アブソープション・アプローチと言う。アブソープションは、民間消費、民間投資、政府支出の合計で、アブソープションと国内総生産の差額が貿易収支となる。したがって、アブソープションが国内総生産を上回ると貿易赤字となり、アブソープションが国内総生産を下回ると貿易黒字となる。貿易赤字を解消するためには、国内総生産を拡大させるか、アブソープションを縮小させる必要がある。為替相場の変動を考えると、自国の通貨の切り下げは、マーシャルラーナー条件が満たされていると貿易収支を改善させる。これをアブソープション・アプローチで考えると、自国通貨の切り下げは、輸出品価格の低下による輸出増加を通じ、国内総生産を拡大させる。また、輸入物価の上昇に伴う国内物価の上昇と交易条件の悪化によって民間消費が減少し、それによってアブソープションが縮小する。したがって、国内総生産が拡大するとともに、アブソープションが縮小するため貿易収支が改善する。アブソープション・アプローチには、資本市場が考慮されていないことから、資本収支を含んだ国際収支と国内経済活動の関係が十分に考慮されていないという欠点もある。国際収支の動向を分析するアプローチとしては他に、弾力性の考えを用いて、為替相場の変化が貿易収支にどのような影響を与えるかを分析する弾力性アプローチや、国内金融の動向と国際収支の関係を分析するマネタリー・アプローチなどがある。
【参照キーワード】

マーシャル・ラーナー条件




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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