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帰属計算
【きぞくけいさん】


Imputation

国民経済計算(SNA)上の特殊な概念の1つであり、実際に市場で財貨・サービスの取引が行われていないにもかかわらず、それがあたかも行われたかのように取引を擬制して計算を行うことを言う。代表的な例としては、民間最終消費支出に計上される帰属家賃があげられる。帰属家賃とは、自ら所有する持家に住む人が、その家に対して家賃を支払っているものと取引を擬制して、その家賃分を消費支出にカウントする考え方である。借家に住む人が支払う家賃は消費支出にカウントされるため、帰属家賃を考慮しない場合、持家率が高まるほどGDPが低くなるという矛盾が生じることになる。帰属家賃は、こうしたバイアスを除去するために導入されたものである。
他の帰属計算としては、農家の自家消費や帰属利子などがある。農家の自家消費とは、農家が作った作物のうち自ら消費する分を、市場に一度売り出された物を購入したとみなして消費支出にカウントする考え方である。帰属利子とは、金融仲介機関の受取利子・配当と支払利子との差額である。SNAでは、金融資産の貸借によって得られる利子を付加価値とはみなしていないが、そのままでは金融機関の収支が大幅なマイナスとなるため、いったん金融機関の付加価値に含めたうえで、後から他産業の中間投入として控除している。この場合、本来ならどこまでがどの産業の中間投入かを特定して配分する必要があるが、推計が困難なため、架空の産業の中間投入額として一括控除している。ただ、最近では金融仲介機関のこうした活動を付加価値として計上しようという試み(FISIM:Financial Intermediation Services Indirectly Measured、 間接的に計測される金融仲介サービス)もなされている。FISIMは国民経済計算において参考試算値として掲載されている。
【参照キーワード】

国民経済計算




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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