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基礎的財政収支
【きそてきざいせいしゅうし】


Primary Balance

公共投資や社会保障などの行政サービスに使う政策的支出を、新たな借金に頼らずにその年度の税収などで賄えるかどうかを示す指標。プライマリーバランス(PB)とも呼ばれる。基礎的財政収支は、公債の利払い費と償還費を除いた歳出から、公債発行収入を除いた歳入を差し引くことによって計算される。基礎的財政収支が黒字もしくは均衡するということは、その年度の税収などによって政策的支出が賄えているということであり、財政運営が健全な状態を示す。逆に赤字の場合は、公債を新規に発行しなければその年度の支出を賄うことができないということであり、財政運営が不健全な状態を示す。同時に将来世代の負担が増加することも意味する。
基礎的財政収支が均衡している場合、公債の利払い費分だけ当該年度の債務残高が増加することになる。この時、名目金利と名目GDP成長率が等しければ、名目GDPに対する債務残高の比率は不変であり、債務残高が増加しても、それは経済規模の拡大に見合った分と判断することができる。こうした考え方は、財政状態を中長期的に健全なレベルにとどめておくために不可欠な条件と言われている。仮に、名目金利が名目GDP成長率を上(下)回れば、同比率は上昇(低下)し、財政状態が悪化(改善)することになる。日本の財政事情は先進諸国の中でも際立って悪化しており、基礎的財政収支は大幅な赤字が続いている。このため、小泉政権時に発表された「骨太方針2006」では、政策的支出を削減するなどして基礎的財政収支を2011年度までに黒字化する目標が打ち出された。しかし、その後の景気悪化で目標の実現が困難になったため、麻生政権が発表した「骨太方針2009」では、目標の達成時期を「今後10年以内」に後退させる方針が決まった。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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