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金本位制
【きんほんいせい】


Gold Standard

貨幣価値を金で裏づける通貨制度。金貨本位制、金地金本位制、金為替本位制の3種類がある。金貨本位制とは、金貨が法定通貨として通用力を与えられ、実際に流通する制度。金貨が十分に準備できないという点や、持ち運びにくいといった欠点がある。金地金本位制とは、中央銀行が金地金との交換を保証した兌換紙幣、補助貨幣を流通させる制度、金塊本位制ともいわれ、金地金を中央銀行で集中保管できる。金為替本位制とは、金貨本位制または金地金本位制を採る基軸国の通貨を外貨準備として保有する国が、自国の通貨と基軸国の通貨を、上下幅の狭い一定のレートで交換する制度のこと。基軸国以外の通貨も、間接的に金との兌換が行われる。一般に、金本位制と言った場合は、金貨本位制と金地金本位制のどちらかを指す。金為替本位制は広義の金本位制に含まれる。
金本位制は、19世紀末以降、世界の標準的な通貨制度として確立した。第一次大戦を機に、金の集中管理の必要から多くの政府が金本位制からいったん離脱したが、1922年のジェノア会議を受けて再び各国が金本位制に復帰した(金解禁)。しかし、1929年の大恐慌の勃発とともに再び機能不全に陥り、1931年の英国を皮切りに、1937年までにすべての国が金本位制を離脱した。第二次大戦後に創設されたブレトンウッズ体制は、豊富な金準備を保有する米国だけが固定相場で金とドルの交換性を保証する制度で、ドルを基軸通貨とする金為替本位制の一種である。
金本位制のもとでは、輸入が増加し経常収支が赤字になると、金は国外に流出、通貨供給量が減少し、物価が下落する。一時的には不況に陥る可能性があるが、やがて、国内価格が国際価格に比べて割安となり、輸出が増加するというプロセスをたどることによる経常収支の均衡化機能が期待される。この場合、経常収支が黒字となる相手国には金が流入し、通貨供給量が増大、物価上昇を招き、国際収支の黒字を打ち消す。ただし、黒字国は金以外の資産の売却によってこのプロセスを防ぐことが可能である。これを金不胎化政策と言うが、こうした政策は国際収支の不均衡の調整を妨げ、赤字国の金準備の消耗を強いる結果につながる。このように金本位制は、基本的には引き締め圧力がかかりやすい制度と言える。
【参照キーワード】

ブレトンウッズ体制




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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