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景気循環
【けいきじゅんかん】


Business Cycle

周期的に訪れる景気の波のこと。景気のピークを「山」、ボトムを「谷」と呼び、「谷」→「山」→「谷」で一循環となる。「谷」から「山」までを景気拡張期、「山」から「谷」までを景気後退期と言う。一般に景気循環には、キチン・サイクル、ジュグラー・サイクル、クズネッツ・サイクル、コンドラチェフ・サイクルの4種類があると言われている。キチン・サイクルは在庫循環を要因に起こる景気変動であり、2~3年の周期で生じると言われている。ジュグラー・サイクルは、設備投資の増減によって約10年周期で起こる循環とされており、クズネッツ・サイクルは建築物の耐用年数が20年程度であることから、建設投資の増減によって20年周期で起こる循環と言われている。コンドラチェフ・サイクルは、技術革新によって約50年周期で生じる変動とされている。実際に観察される景気循環は、これらのうち複数の循環が相互に作用しあって生じている。
景気循環の発生するメカニズムを、内生的景気循環論と外生的景気循環論とに分けて整理する考え方もある。前者は、経済にはもともと自らを変動させる力を内在していると考えるのに対し、後者では、景気変動は何らかの外的ショックによって引き起こされると考える。外生的景気循環論には、貨幣的景気循環論と実物的景気循環論がある。貨幣的景気循環論とは、金融政策など金融面における予想外の変化を、実物的景気循環論(リアル・ビジネス・サイクル理論)とは、技術ショックなど実物面における変化を外的ショックと想定し、それらが景気に影響を与えるとする考え方である。
日本では、景気の「山」、「谷」の判定、つまり景気基準日付の設定は、景気動向指数の一致DIから作成されるヒストリカルDIをもとに、景気動向指数研究会で議論を行った後、内閣府経済社会総合研究所長が行う。景気基準日付に基づく日本の景気循環は、戦後14回記録されている。直近の第14循環は、景気の「谷」が2002年1月、「山」が2007年10月(暫定)であり、戦後最長となる景気拡張期間(69ヵ月)を記録した。その他、代表的なものとしては、第4循環の「岩戸景気(谷:1958年6月、山:1961年12月)」、第6循環「いざなぎ景気(谷:1965年10月、山:1970年7月)」、第11循環「平成(バブル)景気(谷:1986年11月、山:1991年2月)」などがある。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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