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限界効用
【げんかいこうよう】


Marginal Utility

消費量を1単位増やした時の効用(満足度)の増加分のこと。アダム・スミスやD・リカードらのいわゆる古典派の時代は、財の価値は、投下された労働量によって決まるという労働価値説が主体だった。これに対し、L.ワルラス、C.メンガー、W.S.ジェヴォンズは、限界効用の高い財の価値が高いという限界効用理論を提唱、その後の理論経済学の支柱となった。例えば、スミスが価値のパラドックスと呼んだ、「水は大変有用なのに価値が低く、ダイヤモンドは必需品ではないにもかかわらず価値が高い」、という事象は限界効用逓減の法則(ある財の消費量が増えるにつれ、1単位増加したときの効用の増分は逓減していくとする説)により説明が可能になる。限界効用理論の登場による一連の理論上の革新を限界革命と呼ぶ。
労働価値説が、供給側の価値理論だったのに対し、限界効用理論は需要側の理論と言えるが、限界効用理論の登場により労働価値説が一掃されたわけではなく、マーシャルは時間軸が短い場合は限界効用説のような需要側の要因が、時間軸が長くなるほど労働価値説のような供給側の要因が当てはまるとして両者の理論を統合する試みを行った。限界効用理論は主として消費行動を説明する価値論だが、これを企業理論に発展させたのが限界生産力説である。限界生産力とは、他の生産要素を一定として、ある生産要素を1単位増加させたときに産出がどれだけ増加するかという比率で、生産要素の価格が、限界生産力に等しいところで決まるとき、すべての生産物は生産要素に分配されつくすことになる。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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