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33

合理的期待仮説
【ごうりてききたいかせつ】


Rational Expectation Hypothesis

人々が将来を予測する際は、過去の情報だけでなく、政策当局の行動や経済環境の知識などを含め、入手可能なすべての情報を利用したうえで行動するという考え。1970年代に、ロバート・ルーカスやトーマス・サージェントなどの新しい古典派経済学者によって提唱された。これに対して、過去の情報だけを元に、過去のトレンドを踏まえて、将来を予測することを適応的期待形成という。合理的期待仮説を元にすると、人々は政策当局がとる行動を正しく予測し、その効果も考慮に入れて行動するため、政策当局が裁量的な経済政策を行ったとしても、その効果は無効化される。そのため、裁量的な経済政策が効果を発揮するのは、人々の予想を裏切った政策をとった時だけである。ただ、裁量的な経済政策は、不況時には財政拡張・金融緩和と取るべき行動は決まっているため、予想を裏切ることは難しいと合理的期待学派は主張する。ケインズ派の総需要を管理する財政・金融政策を、マネタリストは長期には無効としたが、合理的期待仮説では短期でも無効となる。合理的期待仮説には、コストや時間を考えると人々が利用可能な情報をすべて入手することは可能ではないなどの反論がある。
【参照キーワード】

古典派




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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