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国内総生産
【こくないそうせいさん】


Gross Domestic Product:GDP

日本では、内閣府経済社会総合研究所が作成、発表している。国内総生産GDP)とは、ある一定期間に一国内で生み出されたモノやサービスの付加価値の和のことであり、GDPの大きさがその国の経済規模を表す目安となり、伸び率が経済成長率を表す。ここで言う付加価値とは、企業などの生産主体が新たに生み出した価値のことであり、生産額から材料費などの中間投入額を引いたものをさす。例えば、ある国に小麦農家、製粉業者、パン業者の3つの生産主体だけ存在したと仮定する。ある年に、小麦農家が10の小麦を育て、製粉業者がその10の小麦を材料に50の小麦粉を作り、パン業者がその50の小麦粉から100のパンを生産したとする。この場合の付加価値、つまりGDPは、小麦の10と小麦粉の40(小麦粉50-小麦10)、パンの50(パン100-小麦粉50)を足した100となる。計算の過程で控除した小麦10、小麦粉50の合計60が中間投入額である。
かつてはGDP国内総生産)ではなくGNP(国民総生産、Gross National Product)が重視されていた。GNPとは、「国民」が一定期間内に生み出したモノやサービスの付加価値の和のことである。両者の違いは、「国民」と「国内」の概念の違いにある。例えば、GDPでは「国内」を対象とするため、日本企業が海外支店などで生産した付加価値は含まないが、GNPでは「国民」が対象となるため、生産が国内で行われたかどうかにかかわらず、そうした付加価値を含む場合がある。グローバル化の進展により、国内の生産の担い手に占める外国人の割合が増えたことから、一国の経済活動を把握するにはGDPが適当との考え方が主流となった。
現在の国民経済計算(93SNA)ではGNPという呼称はなくなっており、代わりにGNI(国民総所得、Gross National Income)と言われている。GNIとは、「国民」が一定期間内に受け取った所得の総額を指す。GNPは、GDPに海外からの「所得」の純受取分を加えたものだが、国民総「生産」という名前であるにもかかわらず、所得によって定義されることから、実体を正確に表すための名称変更が行われたものである。
GDPには名目値と実質値がある。名目GDPとは実際に市場で取引されている価格に基づいて計算された付加価値の和であるのに対し、実質GDPとはそうした物価変動の影響を除去して計算されたものである。実質GDPと名目GDPには、実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーターという関係がある。GDPデフレーターは、GDPの構成項目要素である個人消費、住宅投資、設備投資、公共投資、輸出入などを対象に含んでおり、家計の消費に関する物価を調べた消費者物価指数や企業間取引の物価を調べた企業物価指数よりもカバレッジが広く、経済活動全般を対象とした総合的な物価指数と言える。なお、「生産」された付加価値額は、企業や家計の所得となったり、税金として政府に納められたりするなどして、いずれかの経済主体に「分配」される。分配された所得は、それら経済主体によって消費や投資など何らかの形で「支出」される。このため、生産面、分配面、支出面から見た付加価値額は概念上すべて一致する。これを三面等価の原則という。
【参照キーワード】

物価指数




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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