100辞書・辞典一括検索

JLogos

12


【ざい】


Goods

財とは、言うなれば人間の欲望やニーズを満たすモノの総称である。大きくは自由財と経済財に分類される。自由財とは、空気や日光のように無償で供給され、その供給量が需要量を圧倒的に上回り、したがって入手する際に経済的手当てが不要な財である。これに対し、稀少性があり、入手するにあたって経済的手当てが必要になる財を経済財と呼ぶ。経済財のうち、消費者の欲望を直接的に満たす財を消費財、消費財の生産のために使われる財を生産財という。物によっては、同じ財でも、消費財にも生産財にもなりうる。消費財のうち、家電製品や自動車のように使用に耐える期間が比較的長いものを耐久消費財、食料や文具のように比較的短いものを非耐久消費財と言う。生産財は、広義の概念では労働や土地などの生産要素を含め、一次産品などの原材料、資本財まで含むが、狭義の概念では、製造業の生産物のうちで、次なる生産過程に再投入される財を指す。後者の概念が一般的である。資本財は、工場設備や機械など生産手段となる財の総称である。
上記の分類は、生産過程とも密接に関係している。生産過程の途中にある財が中間財で、最終生産過程を経た財が最終需要財である。生産財は中間財にあたるが、消費財と投資財(資本財、建設財)は最終需要財にあたる。提供主体とその性質の違いに着目した公共財、私的財という分類もある。公共財は、政府などの公共団体により提供される財で、排除不可能性(誰でも負担なしに利用できる)、非競合性(ある人の消費によって他の人の消費が妨げられない)という特徴を持つ。そのため市場メカニズムの下では適切な供給ができない。2つの条件を完全に満たすものは純粋公共財と言われ、外交、国防などが代表的。2つの条件が不十分にしか成立しない場合は準公共財と呼ばれる。例えば教育や高速道路は、非競合的ではあるが、代金を支払わずには利用できないため、排除不可能性があるとは言えず、準公共財である。
ミクロ経済学の需要・供給分析の視点からは、所得の増加とともに需要が増加する財を正常財(上級財)、所得の増加とともに需要が減少していく財を劣等財(下級財)と呼ぶ。ほとんどの財は正常財だが、ポリエステルスーツやパック酒等は劣等財と言える。劣等財が存在するのは、それと代替的な高級品(高級スーツや吟醸酒のような)が存在するからであるが、2種類の財の関係で他方が売れれば他方が売れなくなるような代替的な関係にある財を代替財と言う。電車とバス、コーヒーと紅茶などは代替財である。また、自動車とガソリン、パンとジャムのように、一方の需要増が他方の需要を刺激する関係にある場合、その2財は補完財と呼ばれる。また、価格が上がると需要が増加する財(需要曲線が右上がりの財)をギッフェン財と言う。財価格の上昇がそれ以上の所得の低下をもたらし、下級財としてその財への需要が増加するパターン等、理論的には考えられるが、現実の世界ではっきりとギッフェン財と言える財は過去も含め存在したことがないとされる。




(c)2009 A&A partners/TMI Associates/ Booz&Company(Japan)Inc./ Meiji Yasuda Insurance Company
日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
JLogosID : 8516850