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サプライサイド経済学
【さぷらいさいどけいざいがく】


Supply-Side Economics

古典派的な前提を一段と強力に推し進めるとともに、税制が供給サイドに与える影響を強調した理論。1970年代に発展した。サプライサイド経済学を主張する一派(サプライサイダー)は、古典派的な立場から、「供給がそれ自身に対する需要を作り出す」というセイの法則が短期的にも成立し、需給ギャップの拡大は起こり得ないと主張。したがって需要サイドの調整に焦点を当てた政策はすべて否定した。フリードマンらのマネタリストは、景気のファインチューニング策としての金融政策を否定する一方、中長期的な視点からインフレ期待を安定させるという意味での金融政策の役割を限定的に認め、マネーサプライの管理を主張したが、サプライサイダーは実体経済とマネーサプライは無関係とし、金融政策は短期的にも長期的にもすべて無効とした。一方で、減税は有効とする。ただし需要喚起策としてではなく、減税によって労働供給や設備投資が恒常的に増加し、潜在成長率の上昇につながるという、供給サイドから見た役割を主張したのが特徴である。ラッファーカーブ(図)に示されるとおり、持続的な経済成長の実現で税収は減税にもかかわらず増加するため財政赤字の拡大は懸念不要とし、たとえ拡大しても民間部門の貯蓄増によってファイナンス可能とした。こうした主張は楽観的かつ実証的裏づけもないとして大半の経済学者から異端視されたが、レーガン政権下で現実に採用されるに至る。しかし、結局は財政赤字の拡大と民間部門の貯蓄率低下を招いたことで、勢いを失うこととなる。

【参照キーワード】

古典派
セイの法則
潜在成長率




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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