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サンクコスト
【さんくこすと】


Sunk Cost

ある事業に投資した資金のうち、その事業を中止・縮小しても回収できない費用のことをいう。日本語で「埋没費用」と呼ぶことも多い。一般に初期投資額が大きく、他に転用ができない事業ほどサンクコストは大きくなる。経済合理的な意思決定を行うならば、現在の意思決定においてサンクコストを考慮する必要はないが、サンクコストは人間の意思決定を束縛することが経験的に知られている。すなわち、人間はある事業への投資継続が追加的な損失を生むことを合理的に理解していても、それまで実施した投資を惜しみ、事業を中止・縮小する意思決定を行うことができないことが多い。サンクコストにとらわれ、非合理的な意思決定を行う心理的傾向をサンクコスト効果またはコンコルド効果と呼ぶ。コンコルド効果の名は、超音速旅客機コンコルドの商業的失敗に由来する。開発計画の途中で商業的成功が困難なことが判明したにもかかわらず、それまでの投資が無駄になることを恐れた英仏当局により投資は継続された。経済合理的に行動する場合、現在の意思決定は将来の費用と効果だけを考慮すべきであり、過去に発生したサンクコストを考慮してはいけない。企業経営者が既に行き詰まった事業に対して「ここで計画を中止すれば、これまで投資した○○億円が無駄になる」といった発言を行うことがあるが、これはサンクコストにとらわれた典型的な事例である。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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