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シグナリング
【しぐなりんぐ】


Signaling

情報の非対称性が存在する市場は逆選択が発生し非効率になってしまうため、情報の保有者が外部に自らの情報を発信することで、これを解消しようとすることを言う。買い手が商品の品質について情報を持っておらず、売り手のみが情報を保有している時、売り手は悪い情報を隠すインセンティブが働く。このため、情報を持たない買い手は品質の悪い商品を買うリスクが発生することから、商品をその分だけ安い値段でしか買わなくなる。この時、売り手には品質の良い商品を扱う売り手と品質の悪い商品を扱う売り手がいるとすると、品質の良い商品を扱っている売り手にとっては、本来の価値よりも安くしか売れないため、商品を売らなくなり、品質の悪い商品の売り手だけが残ることになる。そうすると、市場では品質の悪い商品ばかりが取引されることになる。この現象を逆選択と言い、逆選択を防ぐ手段の1つがシグナリングである。このケースの場合、品質の良い商品を扱っている売り手が、自分の商品の品質が良いことを買い手に伝えるということである。シグナリングの代表例が雇用と学歴の関係である。高学歴を持つ学生がそれだけで仕事をする能力が高いとは言えないが、企業は学歴の高い学生を好む傾向がある。これは、企業が学生の能力を簡単には把握できないという情報の非対称性が存在することに起因する。能力の高い学生は高学歴を示すことで、企業に採用されやすくなるため、高いレベルの学校を卒業しようとする。一方、企業にとっても、能力の高い学生が高レベルの学校を卒業しようとすることから、高学歴の学生を採用することで能力の高い学生を獲得する可能性を高めることができる。
【参照キーワード】

情報の非対称性




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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