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自然利子率
【しぜんりしりつ】


Natural Rate of Interest

価格が完全に伸縮的な市場において成立する実質利子率。19世紀にヴィクセルが提唱したのが始まり。自然利子率が成立する経済では、総供給と総需要がバランスしており、効率的な資源配分が実現している。景気への影響が緩和的でも引き締め的でもない、景気に中立的な実質利子率とも言いかえられる。それゆえ、中立利子率、あるいは均衡実質金利と呼ばれることもある。現実の世界では、需給の均衡点は1ヵ所にとどまらず、需要面、供給面のさまざまな経済ショックを反映してその位置を変える。したがって、自然利子率も時間とともに変化する(短期自然利子率)。これに対し、種々の経済ショックを無視できるような、長期的な安定成長経路に経済が乗っている状態で成立する利子率が長期自然利子率である。長期自然利子率は、一定の前提を置いたうえで、潜在成長率に近似できる。一般的に、自然利子率と言った場合は長期自然利子率を意味することが多い。長期自然利子率に、目標インフレ率を加えたものが、長期的な安定成長経路に経済が乗っている状態で成立する政策金利と言うことができる。現実には、需要と供給は均衡水準からかい離する場合が多く、またインフレ率も目標水準からかい離する場合が多い。このかい離の方向性に応じて、政策金利を緩和方向、引き締め方向のどちらかにバイアスをかけるべきとするのが、テイラー・ルールの考え方である。
【参照キーワード】

潜在成長率
テイラー・ルール




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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