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ゼロ金利政策
【ぜろきんりせいさく】


Zero Interest Rate Policy

中央銀行が、政策金利をゼロまで下げる政策。名目金利はゼロ以下には下げられないため、金利を金融政策の操作目標に置く限り、中央銀行はさらなる金融緩和手段を失うことになる。日銀が1999年~2001年にとった政策が典型的。デフレ不況が深刻化する中、日銀は1999年2月に、政策金利の無担保コールレート(翌日物)を0.25%から0.15%まで引き下げるとともに、「当初0.15%前後を目指し、その後市場の状況を踏まえながら、徐々に一層の低下を促す」とした。最初からゼロだったわけではないが、当時の速水日銀総裁が「ゼロでもよい」と発言したことなどから、ゼロ金利政策との呼称が定着した。実際、3月はじめには政策金利は0.04%まで低下し、ほぼゼロ金利が実現した。さらに日銀は4月に入ると、「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでゼロ金利を続ける」と発表した。ゼロ金利がかなりの長期間にわたって続くとの予想を市場に植え付けることで、イールドカーブを手前から順に押しつぶし、中長期ゾーンの金利を低下させることを狙った政策で、こうした政策を「時間軸政策」という。将来の金融緩和を前借りする政策とも言い換えられる。元日銀審議委員の植田東大教授は自著の中で、「ゼロ金利」と「時間軸政策」を合わせたものがゼロ金利政策と整理している。ゼロ金利政策の評価については、金融緩和効果よりも、潤沢な流動性の供給による信用不安の緩和効果を指摘する声が多い。日銀は2000年8月に政策金利を0.25%に引き上げ、ゼロ金利政策をいったん解除するが、ITバブル崩壊に伴うその後の景況感の悪化により、2001年3月には、操作目標を無担保コール翌日物から日銀当座預金残高に変更、いわゆる量的緩和政策に踏み込んで行くことになる。
【参照キーワード】

量的緩和政策




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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