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貯蓄率
【ちょちくりつ】


Savings Rate

可処分所得に占める貯蓄の割合。国民経済計算(SNA)には、一国全体の貯蓄と国民可処分所得の比率を表した国民貯蓄率という概念があるが、一般に貯蓄率と言えば、家計の可処分所得と貯蓄の比率を表した家計貯蓄率を指す。日本の家計貯蓄率(以下、貯蓄率)は上述のSNAや家計調査にデータが収録されているが、両者の数値が大きく異なることがしばしば問題となってきた。なお、家計調査には、平均貯蓄率(可処分所得に対する貯蓄純増の割合)と黒字率(可処分所得に対する黒字(可処分所得から消費支出を引いた額)の割合)が収録されているが、後者の方がSNAの貯蓄率の概念に近い。SNAにおける貯蓄率家計調査における黒字率の違いとしては、SNAの貯蓄率には帰属計算の概念が含まれること、SNAの貯蓄率は全世帯を対象としているのに対し、家計調査の黒字率は単身世帯を除く勤労者世帯しか対象にしておらず、しかもサンプル調査の結果を基に集計されたものであることなどがあげられる。家計の貯蓄行動の理論については、人々は老いてから取り崩すために若い時に貯蓄するのだという「ライフサイクル仮説」と、貯蓄は次世代に遺産を残すためにするものであり、老いてからの取り崩しは多くないとする「ダイナスティ仮説」がある。日本の場合、以前は貯蓄率の水準が他国と比較して高かったことなどから後者の見方が優勢だったが、近年の貯蓄率の低下傾向を反映して、最近では前者の見方も有力となってきている。ライフサイクル仮説の立場に立てば、高齢化が進む日本では、今後、一段と貯蓄率の低下が進むことになる。この場合、日本全体の資金余剰幅(=貯蓄超過幅)が縮小し、資金不足(投資超過=経常収支が赤字に転落)に転じる結果、不足する資金を海外から調達しなければならなくなる可能性がある。
【参照キーワード】

帰属計算




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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