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動学的(確率的)一般均衡モデル
【どうがくてきいっぱんきんこうもでる;かくりつてきいっぱんきんこう】


Dynamic Stochastic General Equilibrium Model

伝統的なケインズ理論に向けられたルーカス批判の登場後、マクロ経済理論は、家計や企業の個々のミクロ経済主体のどのような行動様式を前提に置くかという、いわゆる「ミクロ的基礎づけ」が不可欠となる方向で発展していく。動学的(確率的)一般均衡モデル(Dynamic Stochastic General Equilibrium Model、以下DSGEモデル)は、こうした背景のもとで発展した経済モデルである。市場環境や政策ルールなどの種々の制約条件のもと、個々の経済主体が、将来の予想をも踏まえ、自己の経済行動を最適化することを前提とする。そのうえで、政策変更や技術革新等さまざまな外的ショックが経済全体に与える影響を一般均衡的に分析するために用いる。1990年代以降、DSGEモデルが急速に発展した背景には、完全市場、完全競争の前提と、家計や企業の合理的な行動を前提としたリアル・ビジネス・サイクル(以下RBC)モデルの登場がある。DSGEモデルは、RBCモデルを土台とし、さまざまな条件を付与することで多くのバリュエーションを生み出した。例えば、ニューIS-LMモデルは、RBCモデルに、価格の硬直性や不完全競争など、財市場の不完全性の条件を追加することによって成り立っている。サーチモデルは、RBCモデルに労働市場の不完全性を追加したモデルである。RBC理論の提唱者のキドランドとプレスコットが2004年にノーベル経済学賞を受賞したのは、こうしたマクロ経済モデルの発展に貢献した点が評価されたという理由が大きい。
【参照キーワード】

リアル・ビジネス・サイクル理論




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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