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バラッサ・サミュエルソン効果
【ばらっささみゅえるそんこうか】


Ballasa-Samuelson Effect

経済成長率の大きい高所得国ほど、物価が上昇しやすくなるという理論。まず、一国の産業を貿易財部門と非貿易財部門に大きく分類する。貿易財部門は、国際的競争にさらされるため、世界市場における同一財の価格は収れんし、いわゆる「一物一価の法則」が成立する。これに対し、非貿易財部門ではこうした価格の収れんは生じない。また、貿易財部門の生産性の上昇率は、やはり国際競争にさらされるため、非貿易財部門の生産性上昇率よりも相対的に高くなる傾向がある。しかし一方で、賃金については、貿易財部門と非貿易財部門を統合したそれぞれの国の単一の労働市場で決定される。したがって、非貿易財部門の賃金は、その生産性に比較して高くなりがちになる。その結果、貿易財部門の生産性が高い高所得国ほど、非貿易財部門の賃金が割高になり、結果として物価も上昇しやすくなる。この理論は主として為替相場の分析に用いられる。各国の為替相場が購買力平価に中々収れんしない理由についての説明に用いられるほか、発展途上国のように経済成長率が高い国では、物価上昇率の格差を考慮した実質為替レートが急激に切り上がる傾向がみられること、先進国と途上国との購買力平価を計算する場合には、生産性水準の高い国の実質為替レートが過大に評価される可能性があることなどを説明できる。
【参照キーワード】

一物一価の法則
購買力平価




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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