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比較優位
【ひかくゆうい】


Comparative Advantage

リカードが提唱した国際貿易の理論。たとえあらゆる財の生産性で貿易相手に劣る国であっても、貿易を通じて利益を上げられることを示した。この理論は2つの国が2つの財を生産するという簡単なモデルで説明できる。今、A国とB国という2つの国があり、それぞれがワインと毛織物を生産しているとする。A国は1人あたりワインを2本、毛織物を8枚生産でき、B国は1人あたりワインを1本、毛織物を1枚生産できるとする。A国とB国を比較すると、ワインと毛織物のどちらもA国の方が生産性が高い。この時、A国はワイン、毛織物のどちらの生産においても「絶対優位」を持っていると言う。この2国が貿易を行う時、B国はどちらの財も絶対的な生産性に劣るため、輸出するものがないように見えるが、実際はそうはならない。例えば、A国、B国にはそれぞれ20人の労働者がいるとする。A国、B国でそれぞれ10人がワインを生産し、10人が毛織物を生産すると、A国では20本のワインと80枚の毛織物が、B国では10本のワインと10枚の毛織物が作られることになる。この時、A国の毛織物3枚とB国のワイン1本を交換できるとすると、B国は20人でワインだけを20本生産し、そのうち10本をA国に輸出すると30枚の毛織物が輸入できるので、結局、10本のワインと30枚の毛織物を手にすることになる。一方、A国は10本のワインを輸入するため、それを生産していた5人を毛織物の生産に移すことができ、毛織物をさらに40枚生産し、そこから30枚の毛織物を輸出すると、結局、ワイン20本と毛織物90枚を手にすることになる。この貿易によってA国だけではなく生産性の劣るB国でも、利益を上げることができるようになる。この場合、B国はワインに「比較優位」を持つという。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
JLogosID : 8516903