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マーシャルのk
【まーしゃるのけー】


Marshallian k

マネーサプライ(マネーストック)を名目GDPで割った比率のことをいう。新古典派(ケンブリッジ学派)を代表する英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが貨幣の需要関数を導出する際に用いたことに由来する。同じく新古典派を代表する米国の経済学者アーヴィング・フィッシャーは、「貨幣数量説」において、「MV=PT」(マネーサプライ×貨幣の流通速度=物価水準×取引量)という交換方程式(フィッシャーの交換方程式)を定式化した。マーシャルはこれをGDPと関連させるため、T(取引量)をY(実質GDP)に置き換えて「MV=PY」 とした。両辺をV(貨幣の流通速度)で割ると「M=1/V×PY」となるが、この1/V(貨幣の流通速度の逆数)がマーシャルのkである(M=kPY)。この場合、「k=M/PY」となり、kが一定であれば、マネーサプライ(M)と名目GDP(PY)は比例する。新古典派は、マーシャルのkは長期的には一定であると仮定、また、実質GDPは貨幣部門とは独立に決まる(古典派の二分法)としているため、マネーサプライの増減は物価にのみ影響を与えることになる。ただし、現実のマーシャルのkはトレンドとして上昇傾向にある時期が長かった。これは名目GDPが増大するにつれて必要とされるマネーサプライが加速度的に増加することを示しているが、この関係が安定的なのかどうかがしばしば議論の対象となってきた。
【参照キーワード】

古典派の二分法




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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