100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

幼稚産業保護論
【ようちさんぎょうほごろん】


Infant Industry (Protection) Argument

現在は国際競争力を有しないが、将来的には自国経済に寄与すると予想される一定の産業について、競争力が高まるまでの過渡的な措置として、関税等の保護を与え、育成を図るという考え方で、保護貿易の根拠となる。19世紀半ば、英国に比べ工業化が遅れていたドイツで、F.リストが英国の自由貿易論に対抗する政策論として主張した。また、1971年、米国の初代財務長官A.ハミルトンが幼稚産業である国内産業を保護・育成することによる国内市場拡大の必要性を説いた。保護されている間は、消費者は高い国産品を買わなければならないことから、幼稚産業を保護できる条件は、将来的な社会的利益が保護による社会的損失を上回ることである。また、製品単価が低下しなければ、いつまでも保護を続けなければならないことから、時間の経過とともに製品単価が低下しなければならない。この場合、製品単価が国際価格を下回った時点で保護を停止することになる。また、保護の対象が広がりすぎたり、保護がいつまでも継続されるリスクに配慮しなければならない。




(c)2009 A&A partners/TMI Associates/ Booz&Company(Japan)Inc./ Meiji Yasuda Insurance Company
日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
JLogosID : 8516928