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グリーン調達
【ぐりーんちょうたつ】


グリーン調達とは、企業が製品の部品、資材などの調達において、環境負荷の低いものから優先的に選択することを意味する。グリーン購入とも呼ばれ、国等の機関は2001年に施行された「グリーン購入法」によって、環境負荷の低い商品の調達が義務付けられている。川上に位置する大手企業がグリーン調達を率先して行うことにより、川下のサプライヤーも環境基準に準拠することを促し、サプライチェーン全体の環境意識の向上が望める。このように社会的に意義の高い施策であるため、企業はCSRの使命を果たすためにグリーン調達の採用が広がっている。企業がグリーン調達を運用する上で調達基準策定と効果測定の作業が最も重要かつ困難といわれ、これらの作業を徹底的に行うことがグリーン調達の成功要因の1つである。
調達基準の策定においては、会社としての環境に対するビジョンを前提とし、それを実現する具体的な活動目標の規定が必要である。それらの活動は、企業の対外的認知度など広報的な効果のみではなく、個別事業における収支への明確な貢献を示すものが望ましい。
また、効果測定においては、サプライチェーン内で協調体制を築き、製品、サービスのライフサイクル全体における効果を指標化する必要がある。これらの選定と測定は、環境関連の施策を成功させる上で最も重要であり、最も能力が試される領域である。以前は評価基準としたい指数がサプライヤーから開示されないといった問題が多くあったが、協力体制の強化や、産業団体における規定化の推進などにより開示への抵抗は薄まりつつある。
グリーン調達における大きな誤解は、直接的なコスト削減につながらない、投資的な施策と捉わられる側面であろう。グリーン調達は、戦略的調達の一面にすぎず、調達の重要要素であるコスト効果を追求することは必須である。先行企業の多くは、電力や消耗材利用の費用対効果の向上など身近なものから着手し、よりイノベーションを用いた施策に発展させることで、環境的効果とコスト削減を同時に達成することに成功している。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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