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コーポレート・ブランド
【こーぽれーとぶらんど】


Corporate Brand

個々の製品ではなく、会社全体を対象とするブランド。「Wii」、「iPod」や「プリウス」が製品ブランドであるのに対して、「任天堂」、「アップル」や「トヨタ」はコーポレート・ブランドである。「コカ・コーラ」のようにコーポレート・ブランドと主要な製品ブランドが同一という場合もある。コーポレート・ブランドと製品ブランドとの間には、相互に強めあう作用がある。強いコーポレート・ブランドがあれば、新製品や新サービスについての期待値を付与することで、市場や顧客の受容性を上げ、成功確率を高めることができる。例えば、「任天堂」には新製品が「家族で安心して遊べるものに違いない」と思わせる力があり、「アップル」には「独創的でユーザーフレンドリー」と思わせる力がある。一方、プリウスの成功によって、「トヨタ」はそれまでのQDR(Quality、Durability、Reliability)に加えて、グリーン、すなわち環境問題に真剣に取り組む企業というブランドイメージを獲得した。これは、製品ブランドがコーポレート・ブランドを強めた例である。強いコーポレート・ブランドをもつ企業には、有形資産だけでない高いブランド・エクイティがあると認識され、市場での企業価値も高まる。
コーポレート・ブランドは、顧客だけでなく、経営者や従業員、株主も対象であり、経営者の意思決定にも影響を及ぼす。BMWでは「BMWらしいかどうか」、ゼネラル・エレクトリック(GE)でも「GEらしいかどうか」かが意思決定の基準であるという。小売業やサービス業では、従業員が顧客のブランド体験の最前線にいるため、コーポレート・ブランドを従業員全員に正しく理解させ、共有させることがとりわけ重要である。スターバックスやリッツ・カールトンは、コーポレート・ブランドが従業員に体現された好例である。コーポレート・ブランディングでは、不易流行を意識することが必要である。多くの企業がもつ創業の精神といった企業の普遍のミッションと、現在見通しうる将来にむかってどういう進化を遂げるのかの両立を図り、顧客、従業員、株主とコミュニケーションを図ることが求められる。




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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