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顧客生涯価値
【こきゃくしょうがいかち】


リレーションシップ・マーケティングにおいて経済性を測定する際の中核的概念。ある顧客と取引を行った場合に長期的に得られるキャッシュフロー(CF)を、現在価値に割り戻して計算を行うという、正味現在価値法(DFC法)を応用する。計算方法は次の通り。
今年のCF+来年の期待CF×来年の期待維持率÷(1+割引率)+再来年の期待CF×再来年の期待維持率÷(1+割引率)〔sup〕2〔/sup〕+…
当該顧客は今後も自社と取引を続けてくれるかどうかは不確実であるが、例えばその顧客の属するセグメントにおける顧客維持率が(翌年も顧客として取引を継続する割合)95%の場合、その顧客が来年も顧客であるという期待維持率を95%と設定する。また、「来年の1万円は今年の1万円より価値が低い」という財務的原則(貨幣の時間価値)を反映させるために、割引率を用いて現在価値に換算する。割引率は金利に類似した概念であるが、一定のリスクを反映させることが必要になる。また、この計算においてキャッシュフローには、売値からすべての変動費を控除した限界利益、または簡便に把握できる粗利益を用いることが適当である。
リレーションシップ・マーケティングを必要とするサービス業などの場合、全顧客層について顧客生涯価値を試算してみると、全体合計の大部分が少数の顧客に集中することが多い。それは特定の顧客において、一回の購買量が多く、購買価格が高く(値引きが少ない)、購買頻度(リピート率)が高い、という状態が生じるためである。このような場合は、まさにリレーションシップ・マーケティングの施策を駆使して、優良顧客との取引をいかに長期化させるかが重要となる。




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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