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サプライチェーン・マネジメント
【さぷらいちぇーんまねじめんと】


Supply Chain Management:SCM

サプライヤーから最終顧客まで物やサービスが動く全体をサプライチェーンと呼ぶ。企業内の組織のみならず、サプライヤー、チャネル(卸・小売)など多数の組織が関与する。通常はこれらの組織がそれぞれに独立して所与の目的関数を最適化するように意思決定を行うが、これが全体最適につながらないことが多く、不良在庫やコスト増、機会損失の原因となる。サプライチェーン・マネジメントSCM)とは、全体を通じてそれぞれの組織が共同で全体最適を目指して、情報の透明・迅速な流通、リードタイムの短縮、生産サイクルの短縮、冗長なプロセスの排除、意図的な在庫の設定、などを行うことである。
SCMでは、外部環境・内部環境の変化とともに常に継続的に「高度化」が必要となる。日本企業で頻繁に見受けられるサプライチェーン上の課題には以下があげられる。&wc1;海外の生産拠点の連携におけるサプライチェーンの冗長化:多くの企業が海外で生産拠点を持っている。しかし、すべてのパーツが海外で揃うわけではない。そうすると、日本で作った部品を海外拠点に提供し、それを海外製品にし、日本に輸入するといった「長い」サプライチェーンとなりがちである。このために、ブルウィップ効果(別項)が生じ、過剰在庫、もしくは欠品(とそれに伴う緊急オーダ)が日本と海外の生産拠点間で生じる場合が多い。&wc2;海外(主に新興国)における需要の「不透明性」:経済危機ではあるものの潜在的にポテンシャルが高い新興国においては、チャネルが多階層、かつ末端の販売の情報が手に入らないことが多い(例えば、中国の自動車業界では末端ディーラにどれだけ在庫がたまっているかつかみにくい)。このような場合は、生産量、キャパシティを上げたり下げたりするタイミングが困難となる。&wc3;SCM能力格差:一部の企業はきわめて先進的なサプライチェーンを構築している。このことが多くのメディア(および欧米)でもてはやされたために、国内企業の多くがサプライチェーンにおいて進んでいる、との印象を受けがちである。しかし、必ずしもそうでない。特に取り上げられることの多かった自動車業界の企業であっても、全体最適は何か、数字に基づいた定義をせず、打ち手を「科学的」に考案していない企業が多く存在する。そのような企業では、盲目的にカンバン方式を取り入れつつあるが、成果は芳しくない(カンバン方式は、需要のふれが少なくかつ読みやすいという条件下で有効である)。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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