100辞書・辞典一括検索

JLogos

25

事業ドメイン
【じぎょうどめいん】


企業が経営活動を行う領域のこと。事業ドメインの決定とは、企業の戦う領域を決めることであると同時に、戦わない領域を明らかにすることである。したがって経営戦略上、事業ドメインの定義とその選択は重要なポイントとなる。事業ドメインを定義する切り口としては一般的に、製品やサービス、自社の強みである技術から定義する方法、市場ニーズから定義する方法などがある。薄型テレビ事業や液晶技術関連事業は前者の例であるし、団塊ジュニア世代向け生活支援事業は後者の例である。企業が保有する経営資源(人、物、金、情報)は有限である。そのため、自社がビジネスを展開する事業ドメインを明確にして、優先順位を付け、限られた経営資源を有効に配分することが経営戦略上重要となる。
また、事業ドメインの定義の仕方自体も、企業の経営戦略を方向付ける上で大きな意味合いを持つ。例えば、ある鉄道会社がドメインを「鉄道事業」と定義した場合と「総合輸送事業」と定義した場合とでは、おのずと環境変化に対応する発想が変わってくる。「鉄道事業」と定義した場合は、輸送手段の進歩あるいは他の輸送手段との競合に対し、鉄道という枠の中でのみ差別化して優位に立つことを模索する。一方、「総合輸送事業」と定義した場合は、経営環境の変化に対し、鉄道以外の輸送手段にも参入することにより競争優位を確立することを考える。さらに事業ドメイン定義に際しては、近年、技術革新や顧客の複合ニーズの高まりにより、旧来の事業ドメインが融合した新しい市場が発生してきている点にも注意を要する。こうした融合化現象を見抜けずに、旧来の事業ドメインに従って自社のビジネスを定義してしまうと、新しい事業機会を失いかねない。例えば松下電器産業が自社の事業ドメインをラジオ、レコード、カセットテープといった単位で定義し、事業部を構成していたとすると、ラジカセやシステムコンポといった製品は開発されなかったかもしれない。




(c)2009 A&A partners/TMI Associates/ Booz&Company(Japan)Inc./ Meiji Yasuda Insurance Company
日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
JLogosID : 8517016