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シネクティクス
【しねくてぃくす】


Synectics

主に製品開発の分野などで用いられる、イノベーティブな問題解決を図るための思考技術のこと。類比・類推(アナロジー)をベースにアイデアを引き出す点と、異分野のメンバーで構成されたチームがアイデアを融合していく点に特徴がある。シネクティクスとは、「一見関係のない異なった要素を結びつける」という意味を持つギリシャ語からの造語であり、1950年代に米系コンサルティング会社のウィリアム・ゴードンにより提唱されたもの。ゴードンは、「研究者は一体どのような考え方を使ってイノベーティブな技術を生み出しているのか?」ということに着目し、さまざまな研究開発チームの実証調査を実施した。その結果、類比・類推(アナロジー)という発想がイノベーションを生み出すカギであることを突き止め、構造的な問題解決プロセスに昇華させた。彼は著書「シネクティクス」の中で、類比・類推(アナロジー)の発想技術を次の4つのパターンに類型化している。&wc1;直接的類比:対象となるモノを似ているモノに置き換えて、類似点を手がかりに発想する、&wc2;擬人的類比:対象となるモノに自分がなりきることで、その動きや機構のアイデアを発想する、&wc3;象徴的類比:対象となるモノの抽象的なイメージを手がかりに、幅広く発想する、&wc4;空想的類比:特にとらわれず、潜在的な願望のままに自由に発想する。
日清食品の創業者である故安藤百福氏は、インスタントラーメンを開発するにあたって、どうやって麺を乾燥させ保存できるようにするかという問題にずっと頭を悩ませていたという。しかしある日、てんぷらを見て「はっ」とひらめき、そこを手がかりとして、麺をフライにしたチキンラーメンが誕生したと言われる。このような類比・類推(アナロジー)を通じたイノベーションの発生を偶然の産物とせず、仕組みとして生み出すための手法をシネクティクスと言っても良いだろう。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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