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パーチェス・ファネル
【ぱーちぇすふぁねる】


Purchase Funnel

購買関与度の低い一般消費財の場合、AIDMAというプロセスで消費者が購買意思決定を行うと従来から考えられていた。しかし、自動車のように購買関与度の高い耐久消費財の場合は、購買意思決定に時間がかかり、その間のプロセスはAIDMAでは表現できないということがわかっていた。そこで自動車業界を専門とする市場調査会社のアリソン・フィッシャー(現在はGfKの一部門)が、次のようなプロセスを想定し、それぞれについてアンケート調査するというサービスを自動車メーカーに提供するようになった。&wc1;広告を認知する(awareness)、&wc2;その商品に親近感を持つ(familiarity)、&wc3;その商品に好意的な意見を持つ(overall opinion)、&wc4;その商品の購買を考慮する(consideration)、&wc5;その商品の購買を意図する(intent)。自動車という商品の場合、広告を見ただけではなく、実際に走っている姿を見たり、周囲の評判を聞いたり、雑誌などを読んだりして、ブランド・イメージを自分の中に形成するのであるが、アリソン・フィッシャーのファネルではそれを上記&wc2;(自分にとって好ましいイメージかどうかの評価)と&wc3;(自分が必要とする具体的な特徴の評価)の二段階に分けて分析している。また、実際のクルマの購買の場合には、多くの候補車種をまず想定して、そこから徐々に一車種に絞り込んで行くというステップをとることが多いので、アリソン・フィッシャーのファネルではそれを上記&wc4;(複数候補車種を設定する)と&wc5;(1つの車種に決める)の二段階に分けている。顧客は購買車種の決定前からディーラーをいくつか訪問して情報収集を行い、決定後にディーラーで最後の交渉を行うのであるが、その時点で交渉が不調に終わる(お目当ての車の値引きが小さい)と&wc5;とは異なる車を購入する結果になることもある。このように、意思決定の各段階で徐々に顧客が「漏れ」ていく様子を、じょうご(ファネル)の形に見立てたため、パーチェス・ファネルと呼ばれている。
ネットの情報源が登場して以降の消費者の購買行動を理解するうえでも、従来のAIDMAではない枠組みが必要になっており、日本の大手広告代理店を中心にAISASの法則が提唱されている。しかし、消費者購買行動は製品の特性に応じて異なるため、どの商品にも通用する一般的枠組みが有効とは言えない。パーチェス・ファネルの定義、すなわち消費者が商品を認知してから購買行動に移るまでのプロセスは、業界ごと、商品ごとに異なる。ネット以前の時代には、途中経過は測定できず、マス広告しか手段がなかったので、そのようなプロセスを理解しようがしまいが関係なかった。しかし、ネット時代になってからは、消費者が自社の商品に対してどのような購買行動をとるのかを理解することが重要になっている。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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