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マス・カスタマイゼーション
【ますかすたまいぜーしょん】


Mass Customization

大量生産と同じ効率性で、顧客の趣向に沿った多様な製品を受注生産することを意味する。マス・カスタマイゼーションを用いたサービス例としては、製品仕様が柔軟に変更できるデルのオンライン発注、オリジナルシューズが作成できるナイキの「NIKEiD」、豊富な色の組み合わせからメッセンジャーバックが作成できる「TIMBUK2」などがあげられる。マス・カスタマイゼーションをサービスとして実現する要素として「カスタマイゼーションの必要性」、「正しい選択肢の提示」、「柔軟な製造プロセス」、「効率的な物流網」、そしてそれらを管理する「情報管理能力」が必要条件と言われている。
「カスタマイゼーションの必要性」とは、対象商品が一般的な顧客の趣向において、カスタマイズされるべき商品かを選別する必要を示す。自己表現の手段として用いない汎用的な商品を無理にカスタマイズしても需要は存在せず、カスタマイゼーションに対応するための労力が無駄となることが多い。カスタマイゼーションに適した商品としては、自己表現に貢献したり、機能の選択肢を多く持つ商品があげられる。「正しい選択肢の提示」とは、顧客に選択肢を提供する上で彼らの趣向に沿った選択をスムースに導く仕組みを意味する。多くの顧客は選択肢が多すぎると混乱し、選択できなくなるため適切な選択肢の提示が重要となる。次に「柔軟な製造プロセス」とは、一定のリードタイムで多様な製品を製造する仕組みを示す。例えば製品の部品を事前にモジュール化し、それらの組み合わせで異なった製品を提供するなど、多品種対応の負荷を軽減する工夫が必要となる。また、1商品を1顧客に配送する物流、およびパッケージングコストを軽減する仕組みとして「効率的な物流網」を保持していることが望ましい。あるサービスは、工場から顧客への直送ではコストが高いため、他の製品と合わせて物流拠点、小売店に配送し、その後に個別発送するなどの工夫を施している。最後に、これらを機能させるためには、受注から発送までの全工程において包括的なITによる情報管理が不可欠である。顧客趣向の多様化や製造・IT技術の進化によってマス・カスタマイゼーションへの流れは加速すると推測されるが、リーバイス、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などすでに撤退した企業も多い。これらの5つの要素を上手に網羅することが成功の鍵となる。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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