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モジュール化
【もじゅーるか】


「モジュール(部分)に分割し、分業すること」という意味だが、その概念は広く社会や経営に適用されている。モジュール化という概念は必ずしも定型化しておらず、システム/ITのような複雑な生産物の「設計」に関わるモジュール化(分解・分業)、自動車/電気製品のような物理的な「生産物」のモジュール化(機能体・部品の汎用化)、または「組織」のモジュール化(自立化)と多面的に適用されている。現在、モジュール化が盛んに検討される理由やそのメリットとしては、主に下記のものがあげられる。&wc1;複雑なシステムを機能別に分割することで、個別機能のさらなる複雑化が可能となり、機能自体のパフォーマンス向上が期待できる、&wc2;個別のモジュールの改善や進化が他のモジュールから独立できるため、同時並行での開発推進が可能となる、&wc3;外部の環境変化に対して、モジュール間の連結は顧客ニーズと連動した組み合わせを最適化することが可能となる。モジュール化はシステムの変化の速度を速め、競争圧力を高める以上に、企業間の関係を変質させていく側面がある。例えば、PCメーカーはパーソナルコンピューターにおいて、そのモジュールはディスプレイ、ドライブ・システム、メインボード、CPU、メモリー、OS等の機能ごとに分割されており、同時並行的な技術開発がなされている。一方で別の企業例として、1986年に最初の製品(ルーター)を発表して以来飛躍的な成長を遂げているシスコシステムズは外部から最先端の開発成果をモジュールごとに吸収し、技術開発チーム単位で研究開発体制に取り込んでいった。シスコシステムズは1993年以降に70社を超える企業買収を実施している。こうしてモジュール化された企業の収入や利潤は、伝統的な産業と比較してはるかに分散されている。インテルやマイクロソフトでさえ、従来型の業界構造と比較すると、全コンピュータ企業の総市場価値に占める重要度は相対的に小さい。たえずイノベーションが起こる環境の中で多数の企業がひしめくモジュール・クラスターの一部として活動することは常に変化への柔軟な対応とそのポジショニングを見極める必要があり、状況に応じた「好手」といえる次の一手を見極める時代が到来していると言える。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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