100辞書・辞典一括検索

JLogos

13

ものづくり
【ものづくり】


工業製品生産にあたり、無機質な大量生産・効率化による付加価値の追求ではなく、職人的完成度や革新性の高さに付加価値の源泉を追究する姿勢のこと。ものづくりとは、モジュール化されたコンポーネントを組み合わせ、最適化を志向する「組み合わせ」型のビジネスアーキテクチャに対し、職人的な高度技能や革新性の追究にこそ、日本ならではの付加価値の源泉があるとする考え。経済産業省の「ものづくり産業振興」では、&wc1;イノベーションの推進による新産業群の創出&wc2;生活文化産業の高付加価値化・差別化の実現&wc3;安全・安心で持続可能な社会の実現&wc4;ものづくり人材の育成、を目指すこととしている。「すり合わせ」は、同様に、自動車など高度に水平分業が進んだ製品生産において、最適化されたコンポーネント間の微調整や、実際に組み合わせを終えた製品のバランスの微調整を徹底する際に用いられる。水平分業された各部門が、協業、対面での共同作業を通じて製品の完成度を高め、本来の機能を最大化することに付加価値を追究する考えである。必ずしも対峙するものではないが、徹底したモジュール化、コンポーネントの最適化に付加価値を追究するビジネスアーキテクチャである「組み合わせ」と対比して語られることが多い。組み合わせ型のビジネスアーキテクチャにおいては効率化が付加価値の源泉となるため速やかに付加価値領域が減少していく。これに対する付加価値創造の1つの方向として「ものづくり」と「すり合わせ」という概念が志向されてきた。現在、「ものづくり」と「すり合わせ」によって、実際にどこまで付加価値が創出できるかが問われている。「ものづくり」と「すり合わせ」による効能は、生産者の自己満足であっては意味がない。最終ユーザー、最終顧客にその価値を認めてもらって初めて付加価値と認められる。電子部品などにおいてはすでにその付加価値領域は限界的であろう。自動車、航空、大型設備などの領域において、どこまでその付加価値を認められるか、見極めのタイミングにきていると言える。




(c)2009 A&A partners/TMI Associates/ Booz&Company(Japan)Inc./ Meiji Yasuda Insurance Company
日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
JLogosID : 8517116