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リスク管理
【りすくかんり】


Risk Management

企業が事業活動を遂行するにあたって直面するであろう損失、または不利益を被る危険、あるいは、想定していた収益または利益を上げることができない危険の発生の可能性を適正な範囲内に収めるための一連の活動を指す。企業が収益をあげることを目的として事業活動を行うためには必ず一定のリスクをとる必要があるが、同時にそのリスクを一定の範囲内に管理することが必要。例えば、小売チェーンで新規の出店をする場合、常に想定した来客が得られずに投下費用を回収できないリスクを抱える一方、出店によって事業を拡大する機会を作ることができる。この場合のリスク軽減策としては、事前の調査、計画を綿密に行うこと、出店、店舗維持の費用を可能な限り抑えること、状況によっては、近隣の店舗からの宅配などの別の方法を検討するなどが考えられる。
主なリスクの種類として、市場リスク、信用リスク、オペレーショナルリスク、レピュテーショナルリスク、システムリスク、決済リスク、リーガルリスク、レギュラトリーリスクなどがある。具体的なリスク管理の活動内容は、&wc1;事業活動遂行に関わるリスクの内容の特定、&wc2;リスクから発生する損失の許容額、あるいは、欲するリターンの最低額などから受け入れることができるリスクの量の決定、&wc3;事業活動遂行から生じている実際のリスクの量の計測、&wc4;実際のリスク量を許容可能なリスク量の範囲内に収めるためのリスク軽減策などの実施、&wc5;事業のリスクの状況の把握、などからなる。リスク計測の手法には、日常的に発生するリスクを把握、記録し、傾向を分析することで全般的な損失発生の頻度や規模を推測する手法、市場価格がある商品の値動きから生じるリスクについて一定の価格変動を想定した場合の損失の大きさを試算する手法、一定のリスク発生事象を想定して影響の大きさをシミュレーションする手法など対象とするリスクや事業の内容などによりさまざまなものがある。リスクの軽減方法は、&wc1;そもそもリスクをとらない(入り口を絞る。受注生産性など)、&wc2;とってしまったリスクを他に転嫁する(保険をかけるなど)、&wc3;とってしまったリスクをその他の方法で減らす(反対売買をするなど)、などが考えられる。
従来のリスク管理は、機械的にリスクを把握、計測するという一部の専門家のみが関わりを持つ機能と理解されることが多かった。しかし最近では、個々の事業のリスクの総計が会社全体として受容可能なリスクの範囲内になっているか、会社が成長を確保するために必要なリスクをとっているかを全社的な観点から検証する必要があるという理解が進み、リスク管理には積極的な経営陣の関与が求められている。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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