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リレーションシップ・マーケティング
【りれーしょんしっぷまーけてぃんぐ】


Relationship Marketing

顧客との関係性を重視するマーケティング手法。その基本となる概念は、「新規顧客を獲得するよりも既存顧客を維持することの方が経済的である」という考え方である。顧客との関係が長期化すればするほど企業収益に貢献する理由としては、&wc1;開拓コストが不要になる、&wc2;営業コストが低減する、&wc3;顧客1人あたりの購買額が増える、&wc4;顧客が高価格を許容する、&wc5;他の顧客に紹介する、の5つがあるとされる。新規顧客の獲得には、既存顧客維持の数倍のコストがかかるという経験則が多くの業界で言われているが、特にサービス業や産業財の分野において、リレーションシップ・マーケティングの考え方は、比較的以前から浸透していた。サービス業の場合には、事前に価値のわかりにくいものが多いため、既存顧客維持の経済性が強く働くからである。一方、産業財の場合は、販売対象となる相手先の数が多くなく、ある程度の顧客を獲得してしまったあとは、新規顧客を追加的に獲得することが実質上不可能になってしまうからである。顧客データベースを構築して、システム的にリレーションシップ・マーケティングを行う手法は、CRMと呼ばれる。
ただし、リレーションシップ・マーケティングは、すべての顧客に対して関係性を構築しようというものではない。特に既存顧客維持の経済性が強く働く業界の場合は、新規顧客の獲得には非常に高いコストが発生するため、当初からある程度ターゲット顧客を絞り込む必要がある。製品やサービスの価値を最も高く評価してくれるセグメントは、高い対価を払い、長期的に利用を継続してくれる可能性が高いため、顧客生涯価値も高くなる。顧客の数を重視するマス・マーケティングにおいては、最大公約数的で万人受けするものを提供することが重要であったが、それではすぐにコモディティ(普及品)化してしまい、価格競争に巻き込まれてしまう。むしろ、特定の人々にとって非常に魅力的ではあるものの、それ以外の人にはあまり魅力的ではないというような絞り込み方をした方が、いったん獲得した顧客を維持できる可能性が高くなる。
【参照キーワード】

CRM




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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