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TOC
【てぃーおーしー】


Theory of Constraints

TOCは、日本では制約理論、制約条件理論と呼ばれている。TOCを提唱したのは、イスラエル人のエリヤフ・ゴールドラットであり、1984年にビジネス小説として『ザ・ゴール』を発表し、TOCの概念を世に広めた。TOCは制約条件(ボトルネック)の継続的な改善により、システム(会社や組織、工場等)の全体パフォーマンス向上を実現するための理論である。制約条件とは、ボトルネック、あるいはシステムの中で最も弱い部分を指し、制約条件こそがシステムのパフォーマンスを決定すると指摘している。一般的にTOCの継続的改善プロセスには5段階のステップが存在している。&wc1;システムの流れにおけるボトルネックを見つける、&wc2;ボトルネックを最大限に活用する(不適切な方針や手順を正す)、&wc3;全体のシステム・条件をすべてそのボトルネックに合わせる、&wc4;ボトルネック時点の能力・パフォーマンスを高める、&wc5;全体のパフォーマンス向上を実現すると同時に&wc1;へ戻る。特に、&wc1;のシステムのボトルネックを見つける場合、一般的には物理的制約条件(装置や設備の処理能力、人的資源)や市場の制約条件(顧客の需要等の外部環境に依存する指標)へと目がいきがちだが、実は会社・向上の既存の方針や古い慣習、凝り固まった考え方が制約条件(ボトルネック)となっている場合の方が圧倒的に多いことに注意を払う必要がある。
また、TOCを現場で実施するうえで重要な概念に「DBR(ドラム・バッファー・ロープ)」と「スループット会計」がある。DBRとは、上記&wc2;制約条件を最大現に活用する手法であり、制約条件に対する適切なバッファーを設定することを指す。実際の生産プロセスにおいて多すぎるバッファー(リードタイム/在庫)を設定すると投資利益率が悪化し、少なすぎる場合は、制約条件(ボトルネック)となる工程をストップさせる可能性がある。よって予想される消費量/生産量と、制約条件に補充するための必要時間を見極め、最適なバッファーを設定する必要がある。一方、スループット会計とは「製品売上」から「資材費(直接材料費外注費)」を引いたもので企業の生み出すキャッシュを最大化するための指標である。従来の会計システムでは現場の環境変化に対応しきれない部分があり、「固定費を超えるだけのスループットを稼ぐ」というシンプルが概念で誰でもすぐに利用できる意思決定のツールとして有効である。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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