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環境権
【かんきょうけん】


Environment Right

大気、水、日照、静穏な自然環境等の良好な環境を享受する権利を総称する概念であり、環境破壊・汚染により良好な環境を享受することを妨げまたは妨げようとする者に対しては、環境権に基づく妨害の排除や予防を請求し得るものとして観念されてきた。文化的遺産環境も対象とするか等その概念は未だ固まっていないが、対象を自然環境に限定する考え方が多数説である。日本では、1960年代の高度成長期に、大気汚染、水質汚濁等により環境が著しく悪化したのを受け、1970年代に環境権が提唱されるに至った。そもそも、わが国では環境権を明示する法律はなく、環境そのものが個人に帰属するものではないことから、環境権を加害行為差止のための個人の権利として捉えることを疑問とする考えもあり、環境権を正面から認めた最高裁判所の判例はなく、下級審も環境権そのものについては否定的な傾向がある。ただし、憲法第13条の幸福追求権、同第25条の社会権を根拠とする抽象的権利として環境権が認められることがあり、環境権の内容を明確にするための議論の発展が注目されるところである。




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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