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グレーゾーン金利
【ぐれーぞーんきんり】


金銭消費貸借契約に付随して定められる金利のうち、出資法によって禁止の対象となる金利を下回っているものの、利息制限法によって無効とされる金利を上回る金利帯をグレーゾーン金利という。金銭消費貸借契約における利息を規制する法律として、出資法、利息制限法、貸金業法がある。このうち、出資法は、同法に定める高金利を超える消費貸借契約を、罰則をもって禁止するものである。具体的には、出資法第5条第2項により、年29.2%を超える金利を定めることが禁止されており、これに反する金利の約定を行うと、実際に金利の支払を受けなくとも、出資法第8条第1項により、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金という罰則を受けることになる。
一方、利息制限法第1条は、&wc1;元本の額が10万円未満の部分については年20%、&wc2;元本の額が10万円以上100万円未満の部分については年18%、&wc3;元本の額が100万円以上の部分については年15%を超える金利の約定につき、その超える部分について無効と定めている。無効とは、超過部分の利息に対応する支払義務は発生しないということである。もっとも、利息制限法に違反する金利を約しても罰則の適用を受けることはない上、債務者がその超過部分に対応する支払を任意に行った場合、当該支払は有効となり、返還を求めることはできなくなる(利息制限法第1条第2項)。したがって、グレーゾーン金利の支払は、出資法による罰則の対象にはならず、任意に行われるのであれば、その支払は有効ということになる(みなし弁済という)。なお、消費者金融業者は、通常、貸金業法に定める登録を受けた、「貸金業者」であり、貸金業者が業として行う金銭消費貸借契約は、同法による規制を受けることとなる。もっとも、貸金業法のもとにおいても、グレーゾーン金利の支払は、&wc1;債務者が任意に利息を支払ったものであって、&wc2;契約時に必要な書面が交付されていたなど、必要な手続が履行されており、&wc3;出資法の上限金利(29.2%)等の違反がない場合には、みなし弁済として有効となる(貸金業法第43条第1項)。
消費者金融業者による融資の多くは、このようなグレーゾーン金利で行われてきた。しかし、グレーゾーン金利による貸付によって多重債務に陥る人々が増加して社会問題化したことにより、金利の引き下げを目指す運動が生じ、平成18年に出資法などの法改正が実現し、平成22年6月18日までに施行されることとなった。新法のもとでは、利息制限法および貸金業法におけるみなし弁済の規定が廃止されるとともに、出資法における上限金利が引き下げられ、20%を超える金利の設定が罰則の対象となる(出資法第5条第2項)。これにより、グレーゾーン金利は廃止されることとなる。なお、グレーゾーン金利に関して、過払金の問題がある。グレーゾーン金利による融資に対し、みなし弁済の適用を前提として返済が行われたが、実際にはみなし弁済の要件を欠いていたという場合には、利息の返済として支払われた金銭は元本に充当される。そのため、消費者金融業者側の計算では返済が終了していないにもかかわらず、法律上は、すでに元本が返済されており、その上で、超過して支払が行われていたことになる状況が生じうる。この場合、借主は、消費者金融業者に対し、超過して支払った額の返還を求めることができる。これを一般に過払金返還請求といい、現在でも、多くの請求がなされている。
【参照キーワード】

過払い金




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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