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懲罰的損害賠償
【ちょうばつてきそんがいばいしょう】


Punitive Damages

主に不法行為訴訟において、加害行為の悪性が高いと認められる有責当事者を罰し、将来同様の行為が再発することを防止する目的で、通常の填補損害賠償のほかに認められる損害賠償をいう。英米法系の国において認められているが、日本では認められていない。悪意、害意によりまたは重大な危険をまったく無視した場合のように、非難性が大きいことが要件とされる。イギリスおよびアメリカの一部の州では、懲罰的損害賠償が認められる事件のタイプが限定されており、また、アメリカのごく少数の州では、これが認められない。填補賠償は一定の要件を満たせば必ず与えられなければならないのに対し、懲罰的損害賠償は、それを認めうるタイプの事件か否かについて裁判官が法律問題として判断するが、具体的事件においてこれを実際に認めるかどうか、認めるとしてその額はいくらが適当か等については、事実問題とされ、事実認定者(陪審または裁判官)が加害者の資力その他の事情も考慮して、その裁量で決定でき、その決定は、裁量権の濫用があったといえるような場合でなければ覆されない。特にアメリカでは、この制度の存在が、損害賠償額の高額化に寄与する一因となっている。1997年、フロリダ州内の喫煙被害者がフィリップモリスその他煙草会社数社を訴えた集合代表訴訟において、1448億ドルの賠償金額が命じられており、アメリカの裁判史上最高額といわれている。日本では徴罰的損害賠償判決も承認の対象となるが、公序良俗に反するとして承認されなかったケースもある(最判平成9年7月11日)。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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