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複製権
【ふくせいけん】


Right of Reproduction

印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法によって著作物を有形的に再製する権利をいう(著作権法第2条第1項第15号、同法第21条)。判例上、複製権の侵害が成立するには、&wc1;依拠性、&wc2;類似性の要件が必要とされる。複製権の侵害が争われた裁判例は非常に多い(ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件、最判昭和53年9月7日)。また、江差追分事件(最判平成13年6月28日)では、「複製又は翻案に該当するためには既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との同一性を有する部分が、著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要」であると判断している。このように、ありふれた表現部分が共通しているにすぎないときには、複製権侵害は認められない。「依拠」したという点を直接立証することは難しいが、「依拠してない限りこれほど類似することは経験則上あり得ないだろう」というような場合に、依拠したことが推認される。
著作物の全体的な複製だけでなく、その一部分であっても著作物としての価値のある部分の複製を行う場合には、複製権の使用許諾を受けなければならない。解釈上、美術の著作物の下図に従って作品を完成することは複製権の行使にあたるとされる。また、既存の著作物とまったく同一のものでなく、多少の修正増減があったとしても、著作物の同一性が変わらない限り、同一物の複製にあたるとされる。電気機材の宣伝用に写真撮影を行ったところ、背景として他人の著作物である「書」が小さく写りこんだ写真の複製権侵害を否定した事案(雪月花事件、東京地判平成11年10月27日)等、複製権侵害が問題となった事案は多い。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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