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レバレッジ(レバレッジ効果)
【ればれっじ;ればれっじこうか】


leverage

レバレッジは「てこ」(leverage)を意味し、レバレッジを効かせるとは、ローン金利が運用利回りよりも低い場合に、ローンを厚くすることにより、少ない自己資金でハイリターンを狙う手法のことをいう。
図は、レバレッジ効果のイメージを表したもの。この例では、100億円の物件を全額自己資金(エクイティ)で購入すると、5%の利回りしか得られないが、ローンを借りてレバレッジを効かせ自己資金を30億円だけ使って投資すると、9.7%の利回りが得られる。さらに、元手を分けて複数の物件が買えるので、分散投資という観点から物件固有のリスクが軽減できるという副次的な効果も得られる。

ただし、レバレッジをかけると、不動産からの収益がプラスの時には利回りは上昇するが、不動産収益がマイナスに振れると利回りも一気に悪くなり、元手が毀損(元本割れ)してしまう可能性も高くなる。つまり、レバレッジを効かせるということは、不動産の投資を実体よりハイリスク・ハイリターンに加工することを意味しており、LTV(Loan To Value:総資産に占める有利子負債の比率)が高いほど、その振れ幅は大きくなる。
LTVは、J-REITでは40~60%の水準が多く、プライベートファンドでは70%前後が多いようである。80%以上にするとハイレバレッジと呼ばれ、積極的な投資戦略となる。

【マーケットの循環サイクルとレバレッジの関係】
不動産マーケットの好況期には、不動産に対して銀行などがローンの貸出しを積極的に行って資金が流入し、個々の不動産でもLTVが上昇しハイレバレッジ化が進む。また、借り入れの容易さが購入者を強気にさせるため、不動産価格の上昇が引き起こされる。ハイレバレッジな投資は、好調なマーケット下では投資家のリターンを増大させるため、投資家の意欲はますます高まり、これらがあいまって不動産への投資や貸出しの増大、価格の上昇が持続する状態になる。
ところが、マーケットが悪くなると、銀行が貸付金の回収を始めるため、レバレッジがかけられなくなると同時に、資金縮小によって不動産価格の下落が引き起こされる。損失を出した投資家や銀行においては、ハイレバレッジへの反省が行われ、ローレバレッジへの方針転換が行われるが、この状態をデレバレッジと呼ぶ。
このように、好況時にはレバレッジが進行し、不況時にはデレバレッジが進行するのであるが、このような構造は、マーケットの振幅を拡大させ不安定化させるものとして問題視する声もある。
【参照キーワード】
デレバレッジ




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「プロフェッショナル用語辞典 不動産ビジネス」
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